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2011.12.12
大阪府新知事 松井一郎 所信表明

2011年12月12日 大阪府議会本会議にて松井新知事の所信表明がありましたので、掲載致します。


 大阪府知事の松井一郎です。

 選挙後初の府議会にあたり、今後の府政の推進について、私の所信の一端を申し述べ、議員並びに府民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 思えば、8年8か月前、府議会の一員として初登庁して以来、大阪の再生のため精一杯、微力ではありますが、活動してまいりました。そして、期を重ねるごとに、日を追うごとに、この愛する大阪を何とかしたいという思いが、強くなってまいりました。この度、知事選挙に立候補し、「大阪を変えてほしい」、「大阪を再生させてほしい」、そう願う多くの府民の皆様のご支援を賜り、大阪府知事として、新たなスタートを切りました。その重責に、身の引き締まる思いであります。


 今回、多くの大阪府民・大阪市民の皆様は、「大阪を変えるのか、変えないのか」という問いかけに対し、「大阪を変える」という選択をされました。大阪を再生させるために、大阪府庁と大阪市役所、この間に立ちふさがってきた「見えない壁」、長年の間、大阪の都市としての一体的発展を阻害してきた、この壁を取り払ってほしい。これが府民の選択であります。すなわち、大阪に新たな大都市制度を実現させる、新たな統治機構をつくりあげていくという選択です。私は、このことを真正面から受け止め、それを実現していくことが、政治の責任だと考えています。

【私の使命】

私は、現状に対する危機意識を議論の前提にすべきだと考えています。国の財政は破綻寸前です。国からの財源はあてにできませんし、大阪の税収も低迷しています。加えて、大阪産業の構造転換の遅れが指摘され、東京への本社機能の流出は止まりません。また、失業率は高く、生活保護率も上昇し続けています。そして、急速な高齢化とともに、既に、生産年齢人口の減少が進行しています。まずは、こうした現状をしっかり見つめ、危機感を共有することが必要です。

 そのうえで、アジアの諸都市と熾烈な競争を勝ち抜く。大阪の成長を軌道に乗せ、それを継続させていく。府民の所得を上げ、税収を上げる。そのことにより、府民の健康や暮らしを守り、障がいのある方や介護を要する方など、社会的に弱い立場の方々のセーフティネットをしっかり構築する。そして、誰もが安心して住める大阪をつくっていく。こうした課題に真正面から立ち向かって行かなければなりません。

 大阪を再生させること。そのために、新たな大都市制度を大阪で実現させること。考えを一にする橋下次期大阪市長と役割分担をし、一歩一歩着実にその階段を上っていくこと。これが、知事として私に与えられた使命だと認識しています。【政治姿勢】

 これからの府政の運営にあたり、私が、まず大切にしたいのは、徹底的な対話と議論です。私は、政治家が、政策論争を通じて政治的な価値をぶつけあい、その姿を府民の皆様に見ていただく、このことが、大変重要だと考えています。今後、大都市制度のあり方はもちろんのこと、様々な政策を実現していくプロセスにおいて、府議会の皆様に丁寧にご説明をし、真摯に議論を重ねてまいりたいと考えています。お互いに論点をすべて出し尽くし、徹底的に議論を行いましょう。そのうえで、最終的には、民主主義のルールに沿った方法で府議会のご議決をいただきたいと考えています。

 また、府政運営の基盤は、府民の皆様の信頼にあります。そのためには、府政に関する情報が府民の皆様にきちんと届くことが重要です。良い情報も悪い情報も、包み隠さずオープンにしていきます。府庁全体の大きな方針に係ることはもとより、個別の施策の立案・決定、評価・点検のプロセスを府民の皆様に見ていただくことが、当たり前だと考えています。今後、大阪市との間で行われる事業仕分けのプロセスなども、当然オープンで実施すべきだと考えています。

 そして、やはり、スピード感が重要なときもあります。時代は凄まじいスピードで動いています。待ったなしの課題に対しては、意思決定や対応の少しの遅れが致命傷になる場合もあります。このことを肝に銘じながら、丁寧に対応すべきときは丁寧に、スピード感を重視すべきときは重視するというように、緊張感を持って、しっかりとメリハリを利かせてまいりたいと考えています。

【府政運営】

 私は、橋下府政が掲げてきた「変革と挑戦」、これを支える府政運営の基盤を継承し、発展させてまいります。

 まずは、大きな方針を全庁に示し、それに基づいて、部局長がそれぞれの部門において、組織目標の達成に向けてしっかりと取り組んでいかなければなりません。

 来年度に向けて、景気低迷による税収の落ち込みなど、引き続き、極めて厳しい財政運営が予想されますが、当初予算案の編成や組織・人員体制の考え方を示す「府政運営の基本方針2012」の素案を早急にとりまとめ、来年1月中旬頃には、成案としてまいります。これにより、財政規律をしっかりと堅持しながら、「選択と集中」を通じて、限られた財源や人員等の重点化を図り、将来の大阪を見据えた府政を戦略的に推進してまいります。

 私は、府政運営の基本は、財政規律の堅持にあると考えています。「収入の範囲で予算を組む」ということは、現在と将来の府民負担の公平を図るうえで必要不可欠です。まずは府として、「次世代に負担を先送りしない」ということが、優先すべき課題だと考えています。そして、これまでの財政再建の取組みを一過性のものとしないためにも、財政運営の基本となる事項を条例で定めるべきだと考えています。5月定例府議会以降、ご審議をいただいておりました「財政運営基本条例」については、ぜひとも、今議会でご議決を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 なお、臨時財政対策債については、本来、国から現金で受け取るべきものにもかかわらず、制度上、府が借入れを強いられているものです。国に対して、こうした現行の地方税財政制度の問題点を指摘し、是正を求めていく必要があると考えています。

 私がめざす大阪像は、府民が誇れる、「強い大阪」。そして、暮らしやすい、「やさしい大阪」です。大阪の成長と府民の安心・安全をめざします。私は、大阪という都市が、日本の中で、アジアの中で、存在感を増し、ヒト・モノ・カネを引き寄せる、「稼げる」都市として発展していく。そして、その「稼ぎ」を大阪のさらなる成長のための基盤づくりや、府民の安心・安全のための基盤づくりに投入する。大阪という都市全体で、こうしたサイクルを実現していきたいと考えています。そして、成長を促す役割は広域自治体が担い、広域性・専門性の高いものを除いて、安心を提供する役割は、基本的には、基礎自治体が担うべきだと考えています。

 「強い大阪」「やさしい大阪」に向けた具体的な政策につきましては、府議会各会派のご要望も踏まえ、24年度当初予算編成を行い、2月定例会において、改めて申し述べたいと存じます。

 地域のことは、地域で決める。国ではなく、住民に最も近い地方自治体が、地域の実情に即して、自ら主体的に判断し決定できる体制。これが地域主権の本来の姿です。そして、大阪再生のため、大阪のことは、大阪が決める。制度や仕組みそのものを大阪から創り上げ、全国に発信していく。それを実現する大都市行政のあり方を、皆様のご理解もいただきつつ、追求していきたいと考えております。

 19日には、橋下大阪市長が就任されますので、しっかりとタッグを組んでまいります。まずは、「府市統合本部」を設置し、府と市の類似事業の仕分け、広域行政の一元化など、府と市の間の課題を整理し、役割分担を明確にするとともに、改善方法を明らかにします。

 また、新たな大都市制度の確立に向け、府と大阪市、堺市のそれぞれの首長・議会等で構成される協議会を立ち上げたいと考えております。2月定例府議会には、設置条例案を提案できるよう、準備を進めてまいります。この協議会において、真摯な議論を重ね、国や地方制度調査会にも働きかけを行うことにより、大阪にふさわしい自治の仕組みの実現をめざします。

 また、関西各府県市との連携・協調をさらに深めていきたいと考えています。発足後1年が経過し、大きな成果を挙げている関西広域連合の場を大いに活用して、産業振興やエネルギー政策、広域インフラ整備など、関西全体の広域的なテーマに取り組んでまいります。

 「職員基本条例」についてでありますが、私は、選挙を通じて、公務員全般に対する府民の皆様の見方は、依然厳しいものがあると感じました。公務員としての立場、公務員としての身分に甘んじるのではなく、職員が「真に府民のために働く仕組み」。働いたら働いただけ評価される。やる気のある人が、チャレンジする人がきちんと評価される。そして、そのやる気のある職員が大阪を創っていく。こうした当たり前の姿を実現できる仕組みを早急に整え、府民の皆様の信頼をより確かなものにしたいと考えています。「職員基本条例」については、これまで同条例に関して行われた府議会でのご議論等を十分に踏まえた上で、知事提案の条例として、2月定例会でご審議いただけるよう、検討を急ぎます。

 また、教育の大きな役割は、子どもたちに厳しい社会を生き抜く力を身に付けてもらうことです。そのために必要な教育をしっかり受けることができるようにしてほしい。これが、府民の皆様の願いです。現行の教育行政の仕組み、そして、現在の教育現場は、こうした期待に応えられているのでしょうか。この問題提起を真摯に受け止め、あるべき姿を追求するため、これも、知事提案の条例として、2月定例府議会でご審議いただけるよう、府教育委員会と協議・検討を進めてまいります。これまでの府議会でのご議論等を踏まえさせていただくのは、当然であります。

 以上、私が府政を担当するにあたっての所信を申し上げました。

【議案】

 ここで、今次定例会において、懸案となっております議案について、申し述べます。

 朝鮮学校補助金に係る補正予算案につきましては、府議会からのご指摘も踏まえ、補助金の交付要件として、「特定の政治指導者の肖像画を職員室も含む教室から外す」ことを明確にし、議案の訂正をお願いしたいと考えますので、改めてご審議賜りますよう、よろしくお願いをいたします。

 また、「大阪府立稲スポーツセンター」につきましては、私自身、就任直後に関係施設を視察いたしました。府としては、虐待により緊急保護を要する児童の増加という切迫した状況の中、できるだけ早期に、そのための施設を新たに整備することが、喫緊の課題です。「稲スポーツセンター」は、府・市の役割分担等から廃止する条例を提案しておりますが、現在利用されている皆様には、引き続き一定の期間のご利用をいただけるよう、最大限の配慮をいたしますので、よろしくご理解を賜りたいと存じます。

【おわりに】

 私の政治家としての信条は、「信念と覚悟」です。信じる道をとことん貫くこと。様々な利害関係者とあつれきが生じますが、それを乗り越えてこそ、新たな地平が拓けます。大阪を変えることは、日本を変えることです。この4年間、その目標に向かって、ただひたすら前進してまいります。府議会の皆様とは、その過程において、丁寧な議論を真摯に重ねてまいりたいと考えておりますので、ご協力をお願い申し上げます。

 4年後、今回の選択が大阪を変えることにつながったと、府民の皆様に実感していただけるよう、全身全霊を尽くしてまいります。議員並びに府民の皆様におかれましては、私の意のあるところをお酌み取りいただき、ご支援、ご協力を賜りますよう、心からお願いをし、所信の表明と、初めての議会でのご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。